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◇フィロソフィを作るにあたって

​労務管理事務所 フォージョウハーフ

代表 日比野大輔

盛和塾に入塾して11年になります。その間、私の考え方や仕事の進め方は大きく変わりました。もちろん、良い方に変わったと思っています。盛和塾では稲盛和夫の経営哲学・実践的な経営手法である京セラフィロソフィを学び、それを自社風にアレンジし、自社に導入することが薦められます。しかし、私はこの10年間、それを導入しませんでした。それは、京セラフィロソフィを導入したとき、スタッフのみんなはどう思うだろうという不安があったからです。それか、人まねではなく、自分流のオリジナリティ溢れたものを作りたいというプライドも大きかった。盛和塾で学ぶうち、フィロソフィを導入し、業績を大きく伸ばし、そこの社員さんが活き活きと活躍する様子をいくつも見てきました。それこそ物心両面の豊かさを実現していました。

 

人生は一度きりです。ここに集う一人一人の人生も、僕の人生も、間違いなく一度だけです。

一度きりの人生、余計なこだわりなんかを捨て、できる限り、叶う限り、幸せになりたい、幸せにしたい。

みんなで。この人生は素晴らしかった、そして、方々にありがとうと言えるような人生にしたいと、そう思いました。

 

そう考えたとき、やはり自社にフィロソフィを導入しようと思いました。もちろん、そっくりそのままではなく、自分たちになりにアレンジした方が良いところはアレンジして。

 

 京セラフィロソフィは、稲盛和夫氏のオリジナルというよりも、松下幸之助、儒学、仏教、心学、儒学、洋の東西を問わず、そこに集う人が皆一緒に幸せになれるノウハウが集約されたものです。

 しかも、聖人君主のようなエリートのためのノウハウではなく、平凡で、悩みも、恐怖感もあり、私欲もある普通の人がどうすれば素晴らしい仕事、人生を送れるかという視点で作成されたものです。

 

 人にはそれぞれの価値観や趣味嗜好があります。一方、人間である限り、万人に共通する道徳観、価値観もあります。例えば、人を殺していけない、傷つけることはよくない、利己心を控え、利他的に行動するなどです。このフィロソフィには、このような考え方が記されます。

そして、チームとしてのアウトプットを最大化させる共有すべき戦術的なことが書かれています。個人の人権等を侵害するようなものではなく、一人の人間が幸せになっていける秘訣が書かれます。

 

この事務所・会社にいる間は、このフィロソフィを理解しようと努め、実践しようと努めてもらいたいと思います。

 

 

「フィロソフィを自分の心を整える鏡とする」

人生はその心持ち様によって変わっていきます。自らの良き心を意識して、良き行いをしていけば、早晩、人生は、日々はよくなっていきます。そもそも、人間は、今何をすれば良いのか、心の深奥ではわかっていると言われます。

万人に良知・良心があることは、儒学や宗教だけだけでなく、科学的にも証明されています。

しかし、人が良知_良心のままに生きていくことは、とても難しい。つい、心は乱れ、易きに流れてしまいます。それは、人間の持っている性質であり、仕方がないことです。

 

だから、日々、心の乱れを整える習慣や日課をもつことが大切なのだと思います。毎日、鏡を見て、身なりを整えるように、日々、フィロソフィに向き合い、心をできるだけ美しく整えていこうと思います。

 

毎日、朝礼で、少しの時間でも良いから、みなが接する、そして、週に一度は、その理解を深めるようにしたいと思います。

 

 

「自分にぴったりの仕事、最高に相性の良いパートナー」

自分の運命の人を見つけようと、なかなか見つからず、婚期を逃してしまう人がいます。付き合った相手が想像とは違ったと別れを繰り返す人がいます。私もかつては、運命の人、自分にぴったりの人が世界中のどこかにいると思っていました。しかし、それは間違いであり、幻想だとわかりました。

どんなに好きな人と出会っても、3年もすれば、その熱は冷めてしまいます。当初の燃えるような思いは無くなります。一生の間、恋い焦がれていられる相手など世界中どこを探してもいないのです。

では、永年にわたって、幸せそうに寄り添うカップルは、どうしているのか?

2人は、お互いに好きでいられるような努力をしているのです。ふたりの関係が深まっていく努力、絆と言えるような関係性を育んでいるのです。

これは、会社や職場での同様のことが言えます。自分が思い描く完璧な職場はいくら探しても見つかりません。そんな職場は見つけるものではなく、作るモノ、皆が一緒になって育んでいくものだと思います。このフィロソフィには、そのような人間関係、職場の育み方が書いてあります。ここに集うみんなの永続的で円滑な人間関係が続くようこのフィロソフィの共有を進めて行きたいと思います。

​(2019年12月)

 

 

《ウィニングエッジを見つける。活用の仕方》

フィロソフィの輪読会を日本経営の副社長末永春秀(※1)さんにしていただいことがあります。その際、輪読会で、私が自分の解釈を発表したとき、末永さんに怒鳴られました。

 

「お前の考えを聞いているんじゃない!お前のところのような小さな社労士事務所の体験談なんてどうでも良いんや!7兆円企業を一代で作り上げた稲盛和夫と自分との違いはどこにあるかを探しながら読むんや。自分との大きな違いを生んでいる、小さな考え方の違い、行動の違いを見つけるように読むんだ」

 

成功者と自分の大きな差を生んだ小さな違いを、ウィニングエッジと呼ぶとニールの玉江社長(※2)に教えてもらったことがあります。

京セラという会社はすごい会社です。創業時の28人が、会社が世界的な企業になるまで在籍し続け、それにとどまらず、生え抜きのメンバーから社長はもとより、役員が生まれていっていることがすごいと思います。

 

上場する多くのベンチャー企業は、上場前と上場後で、そのメンバーがガラリと入れ替わってしまうのが通例です。会社が小さい頃のメンバーがいることは

小さな会社の求人で集まる人と、上場後の求人で集まる人では、その能力に差があるから、それは当然なのだといいます。

しかし、京セラは違います。幹部は、みな生え抜きで育っていきます。みな、力をつけ、日本、世界を代表する人物に育っていくのです。そのウィニングエッジがフィロソフィにあるのです。

 

私は、一度きりの人生、可能な限り、余すところなく、幸せになってやる、なってもらいたいと思います。

 

※1

末永さんは、日本経営の副社長です。日本経営は日本最大の税理士法人で、零細事務所を従業員数1000人超える事務所にそだてた立役者に一人です。日本経営随一の営業マンと言われた人です。

盛和塾でJALの再生を支援した際、塾生にはマイルカードを作ってもらって来いというミッションが出たことがありました。ノルマは一人50人。50人に作ってもらうのは大変です。そんな中、末永さんは2600人ものカードを作ってこられました。末永さんに社員さんやお客さんに声をかけられたのですかと聞くと、「そんなことできるわけないやろ!」と言われました。末永さんに頼まれたら、YESという人がそれだけいるということなのだと知りました。営業とはどういう仕事なのかを知ったように思いました。

 

※2

玉江社長は本当に素直な人で、本当に人から学ぼうとする姿勢が強い人で、間違いだと思えば、それこそ余計なプライドなど持たれず、自分の姿勢を改めていかれる人です。それがあの業績を作っているのだと思います。(H30年。社員数9名。44億円)

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